2025年10月19日に発生したアスクルの大規模システム障害により、日本中の企業が「1社依存のリスク」を痛感しました。
本記事では、障害の現状と影響を整理しつつ、今後企業が取るべき調達体制の見直し策を提案します。
カウネットやAmazon Businessをはじめとする複数ベンダー活用の重要性や、BCPの観点から見る“レジリエンス調達”の考え方まで、総務・経理担当者が今こそ知っておくべき内容を網羅的に解説します。
アスクル障害がもたらした調達危機と取引先への連鎖的影響とは
2025年10月19日、法人向けECサービス最大手のアスクル株式会社が、ランサムウェアによるサイバー攻撃を受け、受注・出荷業務を全面停止するという事態が発生しました。
この影響は、アスクル本体のサービス「ASKUL」「ソロエルアリーナ」だけにとどまらず、個人向けサービス「LOHACO」や、子会社である物流企業ASKUL LOGISTを通じて連携していた無印良品(良品計画)やロフトのオンラインストアにまで波及しました。
アスクルの復旧見通しは10月21日時点でも不透明なままで、企業によっては通常業務が停止する深刻な事態に陥っているケースも見られます。X(旧Twitter)上には、以下のような法人ユーザーからの切実な投稿が数多く見られました。
このような「カスケード効果(連鎖的障害)」は、一つのシステム障害が複数の取引先に広がる構造的リスクを示しています。
さらに、今回のランサムウェア被害は外部からのフィッシング攻撃やセキュリティ脆弱性を突かれた可能性が指摘されており、日本企業のサイバーセキュリティ意識の遅れが浮き彫りになりました。
今後は、ユーザー企業側もBCP(事業継続計画)の視点から、より柔軟で耐障害性の高い調達体制を構築することが急務です。

法人だけじゃなくて無印良品やロフトとか個人でも影響あって大変な事態に・・
BtoB企業に突きつけられた「1社依存」のリスクとその代償
アスクルは数万社以上の法人に利用されており、一社に障害が発生すると全国規模で業務がストップするリスクが顕在化しました。
SNSでは現場の混乱が次々と投稿され、「備品が届かず業務停止」や「アスクルしか使っておらず代替策がない」といった声があふれました。
特にERPやEDIなど、アスクルとシステム連携している企業ほど、影響が深刻です。
API連携で発注・在庫管理を自動化していた場合、アスクル側の障害はそのまま自社業務の停止に直結します。
また、アスクルは文具大手のプラス株式会社を母体としており、同グループ内の仕入網も密接です。
この内部的依存構造が、障害の波及をさらに広げる要因となりました。
今回の一件を通じて、「一社依存の危うさ」を痛感した企業が急増し、カウネットやAmazonなどを併用していた企業はリスク分散の恩恵を受けています。
調達業務はコスト・効率だけでなく、冗長性(バックアップ性)を持たせることが今後の必須条件となるでしょう。
“今からでも遅くない”複数ベンダー分散戦略とカウネット活用術
今回のアスクル障害をきっかけに、企業が見直すべき最重要項目のひとつが「調達の分散戦略」です。
特に複数ベンダーを併用していた企業は、今回の障害下でも一定の業務継続性を維持できたという実例が数多く報告されています。
今後、サプライチェーン全体のリスク管理やBCPの観点からも、「分散型調達戦略」は中長期的な企業経営の鍵を握るテーマになることは間違いありません。
中でも注目すべきは、アスクルの最大の競合ともいえるカウネット(KauNet)の存在です。
コクヨグループが運営するカウネットは、法人特化型サービスとして長年にわたり高い信頼を得ており、今こそ再評価されるべき選択肢です。
カウネットの強み①:圧倒的な品揃えとカテゴリの多様性
カウネットは、単なる文房具の通販にとどまらず、以下のような多様なカテゴリをワンストップで提供しています。
- 文具・事務用品(ファイル、コピー用紙、ペン類など)
- PC周辺機器(マウス、キーボード、モニター台など)
- トナー・インクカートリッジ
- OA機器・オフィス家電
- 作業用品・安全衛生用品(マスク、手袋、工具など)
- オフィス家具(デスク、チェア、収納棚)
- 飲料・食品・防災グッズ
このような広範な商品構成により、アスクルで在庫が途切れた場合でも、柔軟に代替品を確保できる調達先としての機能を果たします。
商品選定の幅が広がることで、企業ごとのニーズにもきめ細かく対応できます。
カウネットの強み②:災害・緊急時の対応力と独自サービス
カウネットの強みは商品だけではありません。法人ニーズに特化したサービス面での対応力も注目に値します。
- 365日対応のカスタマーサポート
- 名入れ・スタンプ作成などのオリジナル対応
- 納期の事前指定・確認機能
- 災害備蓄品や防災用品の取り扱い
これらのサービスを活用することで、障害発生時や災害時でも「止まらない業務体制」を構築できます。
特に防災用品や衛生アイテムの事前備蓄は、BCPの実効性を高める重要な施策です。
複数ベンダー戦略の進め方:Amazon、楽天との併用でリスク分散を
実践的な分散戦略としては、カウネットに加えて、Amazon Businessや楽天ビジネスとの併用が効果的です。特にAmazonは、即日配送やIT機器カテゴリにおいて他社を凌ぐ品揃えとスピードを誇り、楽天は食品・飲料・生活用品のバリエーションが豊富です。
理想的な組み合わせは以下のようにカテゴリごとに役割を分担する形です。
- 日常的な文房具・消耗品:カウネット
- PC周辺機器・家電:Amazon Business
- 飲料・食品・雑貨類:楽天ビジネス
- 特殊な備品や名入れアイテム:カウネットの特注サービス
このようにカテゴリごとに最適なベンダーを使い分けることで、万が一一社に障害が発生しても、他社で業務を代替できる体制が整います。
調達を止めない仕組みづくりは、今日からでも始められます。まずはそれぞれのベンダーでアカウントを作成し、緊急時でもスムーズに発注できる準備を整えておきましょう。
主要オフィス用品・業務用通販ベンダー6社比較表(2025年最新版)
比較項目 | アスクル (ASKUL) | カウネット (KauNet) | Amazon Business | 楽天 ビジネス | スマートオフィス | モノタロウ (MonotaRO) |
---|---|---|---|---|---|---|
運営会社 | ASKUL株式会社(プラス系) | 株式会社カウネット(コクヨ系) | アマゾンジャパン合同会社 | 楽天グループ株式会社 | 株式会社大塚商会 | MonotaRO株式会社(住友商事系) |
対象顧客 | 法人・個人 | 法人特化 | 法人・個人事業主 | 法人・個人事業主 | 法人(特に中小) | 法人・個人事業主 |
商品カテゴリ | 文具、日用品、家具、家電 | 文具、家具、防災、衛生用品 | 全カテゴリ網羅 | 出品業者により異なる | 文具、家電、PC、生活用品 | 工具、消耗品、産業資材、整備用品 |
配送スピード | 翌日 or 当日(一部地域) | 翌日 or 当日(一部地域) | 最短当日(Prime対応) | 出店者による | 翌日配送(在庫品) | 当日出荷〜翌日(営業日) |
最低注文金額 | ¥1,000未満で送料¥330 | ¥1,000未満で送料¥440 | 商品により異なる | 出店者によって異なる | ¥1,000未満で送料発生 | ¥3,500未満で送料¥550 |
ポイント/割引制度 | ASKULスイートポイント | カウネットポイント | なし(業販価格) | 楽天ポイントあり | Tポイント連携(設定必要) | 会員割引最大70%OFF |
BCP/災害対応 | 一部備蓄カテゴリあり | 防災備蓄セット・衛生用品充実 | 一部カテゴリにあり | 出店者による | 防災用品カテゴリあり | 現場向け防災用品も豊富 |
法人特化機能 | ERP連携、封筒・名刺印刷 | 名入れ・スタンプ作成・BCP対応 | 見積作成・承認フロー・SSO・API | 請求書払い(限定的) | 注文履歴・在庫連携対応 | 請求書払い・定期便・履歴管理 |
セキュリティ/安定性 | 2025年10月:ランサム被害 | 大きな障害報告なし | 法人セキュリティ標準 | 出店者による品質差あり | 大塚商会の安定基盤 | 法人利用実績豊富/安定稼働 |
サポート体制 | 平日・一部土曜電話対応 | 365日対応(一部地域除く) | チャット・電話の専用窓口 | 楽天&出店者の二重対応 | 訪問・電話サポートあり | 電話・チャット(平日) |
特徴的な強み | コストと品揃えのバランス | BCP対応・365日体制・特注対応 | 拡張性とIT機能の豊富さ | ポイント活用と商品多様性 | 中小向けサポート体制 | 現場・工場向け最適化された構成 |
まとめ
今回のアスクル障害は、単なる一企業のトラブルにとどまらず、日本企業のサプライチェーン全体の脆弱性を浮き彫りにしました。
業務の停滞や出荷停止が連鎖する中で、今後はカウネットをはじめとする複数のベンダーを組み合わせた分散型調達が重要となります。
また、オフライン備蓄やBCPの整備も含めて、自社の調達戦略をゼロベースで見直す良い機会です。
「明日届く」が当たり前だった時代から、“止まらない仕組み”を選ぶ時代へ──。いま総務・経理担当者に求められているのは、備える力と、動ける柔軟性です。